┣■四十過ぎの私は子供の頃よく自分が住んでいる集落を「部落」を呼んでいた。周りの大人達もそうだったから。でもそれは農業集落地での「部落」であって、本書が問題提起する「部落」特殊部落と国?から分別されたものではなかった。この問題が大きくなり、今では農業集落地を「部落」と呼ばなくなっているのかなぁと思った次第。
┣■ここでいう「特殊部落」というと、渡来人や罪人を祖先に持つイメージが強いが、実は北日本から無理矢理連れてこられた人達も多いようだ。根本的な問題は日本が古来より重層社会(階級・地域)に強い拘りを持っているからなのではと、私個人的には考えている。
┣■本書で提言されているような「酷い差別行為」が行われてきたのは事実だろう。なぜそのような態度を取るのかという理由「狡猾な行為」が行われたのもまた事実なのだと思う。だからアレだけの敵対行動を長年、延々と続いてきているのだと認めざるを得ない。(悲)
┣■「集団化」した際に交渉ごとが難しいことは、日中韓の外交交渉などを見ても明らかなわけで、「赤信号、皆で渡れば怖くない」的な「一個人」では決して取らないような誇張した態度をしてしまいがちだ。 “余計なメンツ” が和解を長引かせているだけだと思う。
┣■「親の罪に子は直接には関係ない」という意見にはそれぞれが同調できることだと思う。これからの社会、問われるのは「個人」そのもののはず。『マイナンバー』が日本でも公布されることが決まったが、問題視するのは『マイナンバー』であって、『部落』や『親族』などではないことを世間が認めていくのが一番の解決策のように私には思える。過去の清算は時の流れに任せ、今は争いごとは避けるように周りが配慮していくべきだ。
┣■『マイナンバー』は「国の奴隷」だとして断固抗議する者も現れたが、それは違うと思う。『マイナンバー』はその国・土地に住む者に課せられた「納税の義務」を公正に保つためのものであり、納税することによって受けられる公共サービスも平等に得られるための手段だ。放送自体に問題を抱える「NHK受信料」の紐付け・強制徴収なども騒がれているが、そうした問題が上がる度に声を上げればいい。最初から正解ばかりの政策などないのだから・・・ 。
┣■また『マイナンバー』所在地の紐付けによって「特殊部落差別」の明確・加速化だという意見も上がるかと思うが、それも希有に終わるだろう。核家族化した現代、そして親子間ですら音信不通が当たり前となっていく世の中で、もはや「家系」に拘るのは過去に「名家」とか呼ばれた所くらいだろうし。まぁ血統の遺伝力に拘る輩は「血液型占い」の流行から無くならないとは思うけど(苦笑)、近未来を生き抜いていくのはより「個人」を重視した者達だと私は思う。
┗■「部落」「差別」問題を知る上で、本書は大変良くまとめられ提言されていると思います。私のようにこれまであまり縁が無かった方は是非とも一度は目を通してご自身なりに考えてみて下さい。