遼の陶磁器
遼という国は、西暦916年から1125年まで遊牧民族である契丹族(きったんぞく)が建国し、満州から中華人民共和国(中国)の華北地方の一部までの範囲を支配しました。この頃の中国は唐が滅び宋の時代へと移り変わる激動の時代で、遼の政治は遊牧民と農耕民を別々に支配する二重体制を採用し、契丹文字を制定しました。また中国文化の影響も受け、仏教が栄えた国でもあります。
遼の陶磁器の作法は遠くペルシャなどの西域の影響を受け、遊牧民を彷彿させる独特の器形や文様を持つ一方で、唐三彩系の多彩な独特の味わいをもあわせもつ、素朴な陶磁器です。
歴史館いずみさのは中国や朝鮮半島の陶磁器に比べ、未だ研究途上にある遼の陶磁器320点を一括して所有し、国内外問わず世界に発信できる国際的な美術展など、優れた鑑賞の機会を提供できる優品をそろえています。
中国との交流を深める本市においても、これらの作品を散逸させることなく、中国上海市などとの国際交流をはじめ市民の文化活動、生涯学習などに役立てることを目的に、幅広い活用をはかっていきます。
『遼の陶磁』写真集(一冊2,000円)も頒布中。