シリーズ山東文物7 東方はるかなユートピア-煙台地区出土文物精華-
芸術文化振興基金助成事業
内容
本展覧会では、西周時代、春秋時代、戦国時代の青銅器、玉器など66件145点を通して、山東省北東部の煙台地域の歴史の謎と、その背景にある神仙思想の発達、遼東半島や日本列島との文化交流について展観します。
西周時代から戦国時代の山東省の地域には、斉と魯という大国があったことで有名ですが、他にも多くの小国が林立していました。斉は煙台地域の小国を次々に併合し、戦国時代には煙台地域はすっかり斉の領域となります。史書に登場する太公望の子孫一族の盛衰、その一族に代わって斉を支配する田氏一族の隆盛、そしてその影に隠れた史書に詳しく述べられていない謎に包まれた国の動向などを、煙台地域の発掘資料から検討します。また、渤海湾をはさんで対岸の遼東半島とは廟島列島を伝って人々が行き来したことが分かっています。本展覧会では、こうした歴史をたどり、煙台地域に暮らした人々がどのように活躍していたか、どのような文化をもっていたのかについてご紹介します。
煙台地域は、不老不死の薬を求めるものにとっては仙界への出発地であり、みやこからみればはるか東の果てにある神秘的な地でした。そして、大陸から日本などへの文化の主要な通り道の一つでもありました。当時は煙台地域に対してさまざまな思いが込められていました。本展覧会を通して、煙台地域の歴史的魅力に触れるとともに、当時の人が抱いた思いを想像してみてはいかがでしょうか。