出版社内容情報
「アラブの春」を発端とする紛争勃発から10年。主権国家の秩序がいっそう揺らぎ、非国家主体の影響力が増すなかで、その代表的存在であるクルド人勢力についての学術研究はいまだに手薄い。地域研究、国際関係論、政治学の方法論を駆使して世界最大規模の国を持たない民族、クルド人の実像に迫り、クルド問題研究のフロンティアを切り拓く。内容説明
「アラブの春」を発端とする紛争勃発から10年以上を経た今日も、中東は依然として混迷の最中にある。主権国家の秩序が揺らぎ、非国家主体の影響力が増大するなかで、その代表的存在であるクルド民族主義組織の学術研究が、いま必須の課題となっている。クルド人リーダーの思想、ならびにイラク、シリア、トリコ、イランにおけるクルド民族主義組織の動向を分析し、“国を持たない世界最大の民族”クルド人の実像に迫る。
目次
第1章 クルド人リーダーたちの肖像―バールザーニー親子、ターラバーニー、オジャラン(バールザーニー親子とターラバーニー;オジャランの戦略と志向)
第2章 イラク・クルディスタン地域の国家性―未承認国家論からの検討(未承認国家の定義とイラク・クルディスタン地域;自治と独立と選択―ベネフィットとコストからの検討)
第3章 シリアにおける移行期正義の限界と可能性―クルド民族主義組織PYDによる自治の試み(シリア内戦の実態;シリア内戦における移行期正義 ほか)
第4章 クルディスタン労働者党(PKK)のリクルート方法―なぜ人材を確保し続けてこられたのか(先行研究概観;PKKの闘争とリクルート ほか)
第5章 イランにおけるクルド民族主義組織の動向と外部アクターの影響―非対称的関係から見る地域の不安定化要因(イランにおけるクルド人居住地域とクルド民族主義組織の特徴;非対称的関係から見る地域情勢 ほか)
著者等紹介
今井宏平[イマイコウヘイ]
1981年生まれ。中東工科大学(トルコ)国際関係学部博士課程修了。Ph.D.(International Relations)。中央大学大学院法学研究科政治学専攻博士後期課程修了。博士(政治学)。日本貿易振興機構アジア経済研究所・研究員。専門はトルコの政治と外交、国際関係論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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