白狸の考現家 +図書

40手前で「読書」に目覚めた遅口です。知が凝縮された「宝物」。気付くのが遅すぎました・・・

ぼくたちは戦場で育った サラエボ1992─1995

 

ぼくたちは戦場で育った サラエボ1992─1995

ぼくたちは戦場で育った サラエボ1992─1995

 

内容紹介

戦争はある日、突然やってきた―― サラエボの若者が語る「戦争のリアル」とは

●あのときもう少し背が高かったら、今これを書いていないだろうな。わずかに開いたドアから飛んできた銃弾が、私の頭のすぐ上をかすっていったから。 セルマ(女)1976年生まれ
●戦争中に子どもでいるっていうのは、つまり、学校に好きな子がいて、その子が迫撃弾で殺されるってことだよ。 ヤセンコ(男)1977年生まれ


■サラエボ包囲戦を覚えていますか?
1992年から4年間にわたったサラエボ包囲戦は犠牲者の8割が一般市民であり、しかも、つい昨日までは仲良く暮らしていた隣人同士が銃を向けることになるという、衝撃的な戦争であった。

■「あなたにとっての戦争とは何でしたか」
その戦いが終結してから20年、かつては「戦時下の子どもたち」であった人々もいまや30代前後。戦場育ちのサラエボっ子に向かって著者ヤスミンコ・ハリロビッチ(彼もまた戦争が始まったときは5歳だった)が呼びかけて出来たのが本書である。SNSで「あなたの子ども時代の思い出(戦争体験)を160字以内で語ってください」と問いかけたところ、数千にもわたるメッセージが集まったのである。

■戦争の1000の記憶
本書はその多数のメッセージから選りすぐった1000の「思い出」が詰まっている。 そこには、両親や家族、あるいは友人を喪失した悲しみもあれば、飛んできた迫撃砲の破片を集めたり、戦争ごっこをして遊んだ思い出もあれば、NATOの援助物資を楽しみに待った記憶も綴られていて、「戦時下の子ども時代」のあり方がけっして一通りではないことが伝わってくる。

■作家・角田光代の情熱
本書の日本語版出版を誰よりも熱烈に希望したのが、小説家・角田光代だった。テレビ番組の取材(NHK BS「旅のチカラ」)でサラエボを訪れた角田は本書の著者ヤスミンコ・ハリロビッチと出会い、彼の情熱や本の内容に感動し、「これをどうしても日本の読者に伝えたい」と考えたのだった。

■千田善氏の全面協力
翻訳に当たっては、元サッカー日本代表のイビツァ・オシム監督(サラエボ出身)の通訳を務め、自身もユーゴ内戦の時期に同国にいた千田善が全面的に協力することとなった。本書の解説で、千田はユーゴ内戦は「民族神話」が産んだ「ヘイトの戦争」であることを明らかにし、これが「どこの国でも起こりうることなのだ」ということに警鐘を鳴らしている。

■オシム監督からの特別寄稿も
サラエボ出身で、自身の家族もまたサラエボ包囲戦に巻き込まれた(結果的にはみな無事)元サッカー日本代表監督のオシム氏は日本版序文において「この本を読むと、人生にとって大事なことは何か、また大事なものになりうるものは何か、決定的に大切なものは何か、その感覚が研ぎ澄まされてくるだろう」と熱く語っている。

内容(「BOOK」データベースより)

1992年から4年間にわたって続いたサラエボ包囲戦は犠牲者の多くが一般市民という、近代史上まれに見る悲惨な戦争でした。山の上からスナイパーが市民を無差別に殺すありさまに国際社会は衝撃を受けました。その戦いが終結してから20年、かつては「戦時下の子どもたち」であった人々もいまや30代前後。サラエボ生まれの彼らに向かって本書の著者ヤスミンコ・ハリロビッチ―彼もまた戦争が始まったときは4歳でした―が呼びかけて出来たのが本書です。SNSを通じて集まった数千のメッセージから厳選してできた本書は、そんな「戦時下の子どもたち」の喜怒哀楽が詰まった1冊。ここに「あなたの知らない戦争」があります。巻末には元サッカー日本代表監督イビツァ・オシム氏(サラエボ出身)の書き下ろしエッセイを掲載。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

ハリロビッチ,ヤスミンコ
1988年、サラエボ生まれ。作家、NPO法人URBANアソシエーション代表。4歳のときにサラエボ包囲戦が始まり、「戦場の子ども時代」を過ごす。和平合意成立後、サラエボ第一中等学校在学中に始めた「サラエボ的思考」というブログが評判になり、書籍として出版。同書はボスニア・ヘルツェゴビナで初めての「ブログ本」となった。以後も執筆活動を継続 

角田/光代
1967年、神奈川県生まれ。早稲田大学第1文学部卒業。90年「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞を受賞しデビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で野間文芸新人賞、98年『ぼくはきみのおにいさん』で坪田譲治文学賞、『キッドナップ・ツアー』で99年産経児童出版文化賞フジテレビ賞、2000年路傍の石文学賞、03年『空中庭園』で婦人公論文芸賞、05年『対岸の彼女』で直木賞、06年「ロック母」で川端康成文学賞、07年『八日目の蝉』で中央公論文芸賞を受賞 

千田/善
1958年、岩手県生まれ。国際ジャーナリスト、通訳。ベオグラード大学政治学部大学院中退(国際政治専攻)。外務省研修所、一橋大、中央大、放送大学などの講師を歴任。2006年よりサッカー日本代表イビツァ・オシム監督の通訳を務める。2012年より立教大講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

 

 

 

 

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