白狸の考現家 +図書

40手前で「読書」に目覚めた遅口です。知が凝縮された「宝物」。気付くのが遅すぎました・・・

時間かせぎの資本主義 いつまで危機を先送りできるか

 

時間かせぎの資本主義――いつまで危機を先送りできるか

時間かせぎの資本主義――いつまで危機を先送りできるか

 

資本主義は自らの危機を「時間かせぎ」によって先送りしてきた。
70年代、高度成長の終わりとともに、成長を前提とした完全雇用
賃上げは危機を迎えていた。そこで各国はインフレによる時間かせぎ、
つまり名目成長が実質成長を肩代わりすることで当面の危機を先送りした。 

80年代、新自由主義が本格的に始動する。各国は規制緩和と民営化に
乗り出した。国の負担は減り、資本の収益は上がる。双方にとって好都合だった。

だがそれは巨額の債務となって戻ってきた。債務解消のために増税
緊縮を行えば、景気後退につながりかねない。危機はリーマン・ショック
ひとつの頂点を迎えた。

いま世界は、銀行危機、国家債務危機実体経済危機という三重の危機
の渦中にある。新たな時間かせぎの鍵を握るのは中央銀行だ。その影響を
もっとも蒙ったのがユーロ圏である。ギリシャ危機で表面化したユーロ危機は、
各国の格差を危険なまでに際立たせ、政治対立を呼び起こした。EUは、いま
最大の危機を迎えている。
資本主義は危機の先送りの過程で、民主主義を解体していった。
危機はいつまで先送りできるのか。民主主義が資本主義をコントロールすることは可能か。
ヨーロッパとアメリカで大きな反響を呼び起こした、現代資本主義論。


[目次抄]
序章 危機理論
第一章 正当性危機から財政危機へ
第二章 新自由主義改革
第三章 財政再建国家の政策
結語 次に来るものは何か?
参考文献
訳者解説 いつまで「時間」を買い続けられるか

 

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