内容紹介
『歴史家の本棚』に始まる書評エッセーの好評シリーズ
『歴史家の書見台』『歴史家の羅針盤』につづく4冊目。
本書にまとめられるのは2010年後半から2014年末までの文章である。
これは鳩山内閣から菅、野田を経て、民主党連立政権が終わり、自民
党が政権与党に復帰してからの時期に当たる。またアメリカのイラク
戦争失敗につづく中東の混乱が、解決の糸口も見えないままISの興
隆をもたらした時期である。
この間に著者は東京大学を定年退官、大著『中東国際関係史研究――
トルコ革命とソビエト・ロシア』(岩波書店)をまとめ、読売新聞「地
球を読む」など各方面で言論活動をしてきた。
本書には、専門のイスラーム・中東研究はもちろん、幅広い知見と歴
史・政治のリアリズムを見据える姿勢のみならず、中国や江戸時代を
舞台とする小説やスパイ小説を好んで読む「読書の喜び」があふれて
いる。歴史家ブローデル、モンテーニュの哲学、プルーストの文学に
ついての記述もある。
大人のための読書ガイドであるとともに、近過去を振り返ることによっ
て読者に今日の「展望」をもたらしてくれる楽しい本。内容(「BOOK」データベースより)
政治のリアリズムと、歴史に対する畏怖の念。ほんの昨日の出来事も、眺める位置で違って見える。どう読めば良いのか?すぐれた歴史家が教える、書物の遠近法。
著者について
山内昌之は東京大学名誉教授。明治大学研究・知財戦略機構国際総合
研究所特任教授。専門研究者としての他に、現実の政策面で委員とし
て諮問をうけることも多く、また各新聞雑誌でコラムニスト、書評家
として活躍している。