白狸の考現家 +図書

40手前で「読書」に目覚めた遅口です。知が凝縮された「宝物」。気付くのが遅すぎました・・・

被差別のグルメ

 

被差別のグルメ (新潮新書)

被差別のグルメ (新潮新書)

 

┣■ラジオの書評で「面白い!」と絶賛気味に紹介されていたので、私も手に取ってみた次第。食物系ではいわゆる「ゲテモノ食い」の類いと、最近流行の「自分で屠殺・地産地消」の類いがあるわけですが、本書は「食の歴史」から「差別」をさりげなく指摘したようなものですね。「あなたが今美味しそうに食べているその料理は、あなた方に差別を受けてきた人達の料理ですからッ!」といった感じですかね。歴史的観点からみれば、いつかは立場が逆転しちゃうんですけどね。(苦笑)

┣■序盤で『玉味噌』が出てきますが、これはバラティ番組【青春不敗】の中でアイドル達が村人に習って楽しそうに作ってましたね。本で紹介されているモノよりは本場ゆえか、かなりデカかったけど。(笑) アレ、すごく美味しい味噌なんだね。なるほどね~。 ちょこまかとテレビで見たことがある食材が登場してくるので結構楽しんで読むことができました。

┣■被差別民として「在日」「アイヌ」そして「沖縄」を挙げ、そして「樺太」の先住民族の料理も。戦争モノで現地の映像は見る機会が増えましたが、料理はなかなか目にする機会がないのでとても参考になりました。極寒の厳しい環境の中で培われた調理法ですからね。歴史を感じます。

┣■今の世の中『ヘイトスピーチ』やら『国際環境グリーンピース』が何かと問題になっていますが、一方的に吠えておきながら自分達が食っている料理はその相手方の歴史に由来するモノだったりと、筋が通らないというか、勝手すぎるんですよね。(苦)

┗■「食の歴史」を学ぶことで案外和解が進むかもしれません。「コレ美味しいね」と言われて、文句を付ける人はまずいませんから。作者はそのことも伝えたかったのかもしれません。 

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