白狸の考現家 +図書

40手前で「読書」に目覚めた遅口です。知が凝縮された「宝物」。気付くのが遅すぎました・・・

Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2015年 9/15 号 救いなき難民危機/ISISを生んだのはどの大統領か

 

Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2015年 9/15 号 [救いなき難民危機]

Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2015年 9/15 号 [救いなき難民危機]

 

┣■世界中の視線を集めた「シリア難民の溺死した3歳児の写真」。日本のテレビなどではトルコ軍関係者(?)によって優しく抱きかかえられたものだったが、本誌に掲載されたものは、浜辺に打ち上げられて仰向けになっている小さな遺体だ。大きな損傷などは見受けられないが、頭は海の方を向いていた。小さな子供がまだ自由で安心な場所へ向けて旅立とうとしているように私には映った。内戦と言えども当事者にとっては生死を賭けたものであることを我々は強く認識しなければならない。

┣■特集も『難民』問題だ。「世界が放置した国境なき危機」と題してある。歴史あるブダペストの駅が難民達の寝床と化している。雨水を必死になってペットボトルに溜めているロヒンギャの人々の写真も掲載。「難民」or「移民」との問い掛けに未だ明確な回答が出せていないのが現状だ。

┣■【シリア】からだけではなく【アフリカ】(大陸の北半分・遠くはケニア)からの欧州を目指す『逃避行ルート』が小さくだが掲載されている。越境を試みる難民と地元警察との衝突シーンなど、思わず映画制作ではないかと思ってしまうほど過激な写真の数々だ。海上ルートで2015年7月だけでも、ギリシャには5万人/イタリアには2万人以上の難民が押し寄せた。日本の海岸線でも同じことを想像すると正直言って恐い。

┣■ラスト1ページに哲学者がこの現状を冷静に分析している。混乱はあるものの一見「受け入れ」体制を整ったかに見える【EU】だが、実情はどうもそうでもないらしい。我々日本は今のうちにこうした問題への対応策を制定・公表しておくべきだと私は思う。

┣■『強権国家シンガポール・自由で成熟した社会へ』なる見出しが目を惹いた。皮肉にも同国政府は外国人の受け入れに積極的な姿勢だ。国民はついて行けないようだが・・・ 。

┣■『紛争が大気汚染を改善』などという皮肉な記事も。確かに赤黒い・二酸化炭素の排出量は大きく改善されているようだ。でもコレ冷静に見ると増産しているサウジアラビアでも青く数値が低下しているよ。排出量は薄い黄色で増えてしまってはいるけれど。技術的な点も改善に一役買っていそうだ。

┗■『地理の囚人』という「地理が教えてくれる、世界の歴史と国の運命」なる新刊が詳しく紹介されている。面白そうだが、まだ日本語版は出ていないようだ。いわゆる「覇権争い」だが、日本国内でも歴史を見れば有利/不利は存在したからね。巨大地震など起こらなかったらレバ、東北地方が一大王国を築き、日本列島を二分・三分していたのではないかと私など想像を膨らませてしまうのだが。(^^ゞ

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